青春とは人生のある期間ではなく、心の持ちかたを言う。
薔薇色の面差し、紅の唇、しなやかな手足ではなく、
たくましい意志、豊かな想像力、燃える情熱をさす。
青春とは人生の深い泉の清新さをいう。
青春とは臆病さを退ける勇気、
安きにつく気持ちを振り捨てる冒険心を意味する。
ときには、20歳の青年よりも60歳の人に青春がある。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失うとき人は初めて老いる。
歳月は皮膚にしわを増すが、情熱を失えば心はしぼむ。
苦悩・恐怖・失望により気力は地に這い、精神は芥(あくた)になる。
60歳であろうと16歳であろうと、人の胸には驚異に魅かれる心、
おさなごのような未知への探求心、人生への興味の歓喜がある。
君にも吾にも見えざる駅逓(えきてい)が心にある。
人から神から、美・希望・喜び・勇気・力の霊感を受ける限り君は若い。
霊感が絶え、精神が皮肉の雪に覆われ、悲嘆の氷に閉ざされるとき、
20歳であろうと人は老いる。
頭を高く上げ、希望の波を捕らえる限り、
80歳であろうと人は青春にして己む。
「青春の詩」は、ウルマンが70代で書いたものです。彼は1840年4月13日、ドイツのヘヒンゲンでユダヤ人両親の長男として誕生。両親とともにアメリカに移民し、後半生をアラバマ州バーミングハムで過ごしたウルマンは、教育者として、またユダヤ教のレイラビ(精神指導者)として、実業家として幅広く精力的な活動をし晩年になって数編の詩をつくりました。実はこの「青春の詩」は1922年に家族が発行した詩集「80年の歳月の頂から」の巻頭の詩です。ウルマンはこの詩集が発表された2年後の1924年3月21日84歳でこの世を去りました。 この詩は「リーダーズダイジェスト」が1945年に”HOW TO STAY YOUNG”のタイトルで掲載しました。そして、1955年、故マッカーサー元帥がロスアンゼルスの講演で「青春」を引用。1958年、森平三郎が群馬県桐生の東毛毎夕新聞に「岡田義夫訳」の「青春」を紹介したことによってこの詩が次第に広がりはじめました。その後、1982年、宇野収氏が日経新聞に「青春」の一部を紹介、大きな反響を呼びました。 |