逆境にはこう考えよ!

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人生には「3つの坂」があると言われる。1つ目は「上り坂」。順調に歩んでいる時で、成績が伸び、実績が上がっている時のことである。その時は「嬉しい時」である。2つ目は「下り坂」。今度は逆にうまくいかない時で、成績が落ち、実績が下降している時のことである。その時は「悲しい時」である。3つ目は「まさか(坂)」。人生には「まさかこんなことが起きるなんて‥」という時がある。突然の事故で身内を失ったり、信じていた人に裏切られたり、良かれと思ってしたことが、かえって悪い結果を生んだりした時のことである。その時は大変「辛い時」である。この「まさか」は急に出現し、予測不可能である。その時、私たちは奈落の底に突き落とされる。

この3つの坂は、私たちが人生を歩んでいる限り、必ずといっていいほど出合う。「下り坂」や「まさか」だけは、避けて通りたいと願っても、自分の都合でどうにでもなるものではない。私たちは、この「下り坂」や「まさか」も引き受けながら生きていかなければならない。私たちは「上り坂」の時、自分の力を過信し、うぬぼれてしまってはいないだろうか。「下り坂」や「まさか」の時、「自分なんてどうせだめだ」と投げやりになり、「神も仏もあるものか」と怒りの矛先を神に向けてはいないだろうか。しかし、コヘレト書には、順境には楽しめ、逆境にはこう考えよ。人が未来について無知であるようにと、神はこの両者を併せ造られた、と。」7:14記されている。

アウシュビッツ収容所の経験を書いた『夜と霧』の著者ビクトリア・フランクルは、「それでも人生にイエスと言う。」「それでも人生にイエスと言う。」と記す。前者の意味は、「たとえどれほど逆境に追い込まれたとしても、私はその逆境を引き受けて生き抜こう。」それに対して後者の意味は、「たとえどれほど逆境に追い込まれたとしても、人生は私を決して見捨てない。」そして、「これらの両者が不可欠である。どんな運命に見舞われようとも、人生には無条件に意味がある。」とフランクルは言う。

私たちの人生はかけがえがなく、一度限りである。その人生を、主は「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」マタイ28:20と約束してくださっている。だから「わたしたちは、四方から苦しめられても行き詰らず、途方に暮れても失望せず、虐げられても見捨てられず、打ち倒されても滅ぼされない。」Ⅱコリント4:9とのパウロの言葉に共感できるのではないか。主により頼みながら、「3つの坂」を引き受けて生きていきたい。そして「人生には無条件に意味がある。」ことに気づきたいものである。