私から始める、世界が変わる!

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毎年上尾教会では、10月16日の「世界食料デー」の働きを礼拝の中で覚え、祈りを捧げ、献金を「日本国際飢餓対策機構」に送っている。世界の死亡原因の第一位は「飢餓」である。一分間に17人(その内12人が子供)が飢餓で亡くなっている。日本では考られないことであるが、今も世界では6億9千万人が、飢餓で苦しむ。それは世界の11人に1人、アフリカ全体では4人に1人に当たる。

その原因は、穀物が不足しているからではない。世界では、穀物だけでも世界中の人が生きでいくのに必要な量の倍近く生産されている。それなのに世界の飢餓人口は減るどころか増え続けている。それはなぜか。世界人口の18%が暮らす先進国の人たちが、世界の穀物の39%を消費しているからである。言いかえると、世界のおよそ5分の1の先進国の人が、世界中の穀物の5分の2を消費していることになる。そして世界人口の5分の4が開発途上と言われる国に住み、世界の5分の3の穀物で暮らしている。今、アフリカ東部では、干ばつによって作物の収穫が少なく、深刻な食糧難に陥っている。とりわけ子供や女性の栄養不足は深刻である。

 

飢餓の原因は、食料不足ではなく、災害や紛争であったり、人間の貪欲さであったり、社会の不平等さや貧困であったりする。ボンヘッファーは、「誰かが自分のパンを自分のためにだけ取っておこうとする時に、初めて飢えが始まる。これは不思議な神の掟である」と警告を鳴らす。飢餓状態にある子供の80%は、余剰食糧を生産している国の子供たちである。輸出用(日本などの先進食糧輸入国)の食糧を生産している隣りで、食べることがままならないという状態で過ごさなくてはならない子供たちが大勢いる。つまり、食糧支援を行うだけでは、根本的な解決には繋がらない。

日本国際飢餓対策機構の標語に、「私から始める、世界が変わる」とあった。何を「私から始める」と良いのか。それは「Go Toイート」に関心をもつ以上に、飢餓で苦しむ人々に関心をもつことである。「愛の反対は、憎しみではなく無関心です。」とマザー・テレサが語ったように、愛は、相手に関心をもつことから始まる。すると「主の祈り」も、飢餓で一人も命を失うことがないように、「我らの日々の糧を今日も与えたまえ」という思いを込めて捧げるようになるだろう。私たちは、自分に与えられたパンを、自分のためにだけ取っておこうとするのではなく、他者のために用いていきたい。「受けるよりは与える方が幸いである」使徒言行録20:35、との主の言葉に生きたい。