本日、2016年度の定期総会を行う。昨年度の諸報告を聞き、一年間の主の導きに感謝を捧げ、また今年度の歩みが主の憐みの中で支えられるよう祈りを合わせる時としたい。立てられた活動計画を推進するためには何が必要か。組織づくり以上に、「人づくり」が大切であることを痛感する。時々、複数の委員会を時間差で開くが、顔ぶれが同じで中身が違うということがある。一人で何役も奉仕を担っているのが現状である。「あなたがたはキリストの体であり、また一人一人はその部分です」Ⅰコリント12:27。そうであるなら、一部分だけが忙しく働くことは、体にとって決して健全なことではない。今年度は、奉仕をできるだけ多くの人と分かち合っていきたい。
そのためには、日頃から「人づくり」をしていきたい。自分一人でやれば、何でも早くきれいにできるかもしれない。しかし、それをしていては、いつまで経っても楽にならず、人は育たない。時間はかかっても、一緒に奉仕を担うことによって、共に育つのである。「人づくり」は、こうでなければと、鋳型にはめようとするのではなく、一人一人の賜物を最大限生かしていく柔軟性や、適材適所を見極める視点も大切である。その人らしく奉仕できる場が広がれば、全体が生き生きとして来るだろう。
パウロはコリント教会員に対して、「全てはあなたがたを造りあげるためなのです」Ⅱコリント12:19と語った。この「造り上げる」という言葉は「家を建てる」という言葉に由来し、「徳を高める」とか「向上する」とかいう意味がある。全ての奉仕は、教会を建て上げるだけではなく、各自の徳を高め、信仰を向上させる力がある。信仰によって奉仕するが、奉仕によって信仰が支えられていることも事実である。「もし、この奉仕がなければ、これほど忠実に教会生活を送ることはなかったでしょう」という言葉を信徒の皆さんから聞く。確かに、主に用いられることは、信仰の大きな成長になる。
私は、いつも出された食事と頼まれた奉仕は断らないことにしている。「また引き受けてきたの」と妻から言われ、その時は「しまった」と思うこともあるが、後になると、その奉仕によって自分も教会も豊かにされていることに気が付く。ですから、人から奉仕を頼まれた時は、失敗を恐れずに何事もチャレンジして頂きたい。すると、今までは気づかなかった賜物を発見することができるだろう。「神から頂いた恵みを無駄にしてはいけません」Ⅱコリント6:1。その神からの恵みに応えて、一人一人が奉仕に積極的にかかわっていくなら、神に喜ばれる「人づくり」がなされていくに違いない。