知恵を神に求めよう

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今年の干支は猿。私たち日本人にとって大変親しみのある動物であるが、聖書の時代には馴染みがない動物であった。その証拠に、聖書において猿が登場するのは、たったの2か所(列王記上10:22、歴代誌下9:21)、それも同じ内容である。恐らく、聖書の舞台になったパレスチナ地方には、猿はいなかったのであろう。しかし、古代の碑文や彫刻には、猿の引用は多く、猿は一種の珍獣として尊ばれていたようである。

列王記上10章はソロモン王の繁栄ぶりを述べたところで、主イエスも「ソロモンの栄華」ということを引き合いに出しているほど、イスラエルの歴史において最も繁栄した時代である。その繁栄の理由は彼の知恵にあった。その栄華を極めたソロモン王は3年に1度商船を出して、海外貿易をした。その時、海外から持ち帰った品目のリストの中に、「金、銀、象牙」と並んで「猿とひひ」が登場する。なぜソロモン王は猿を取り寄せたのか興味深い。恐らく猿はソロモン王のペットであったのではないか。

猿は賢い動物である。猿は犬などと違って道具を利用することもでき、特殊な例では鍵を開けて檻から脱出する猿もいる。猿の知恵は基本的には本能によるもので、模倣と経験の繰り返しの枠を越えることはできない。それに対して、人間の知恵は、本来神から与えられたもので、人間の限界を越えた世界を想像することができ、現実に存在しないものでも作り出すことができる。しかし猿には、現実に存在しないものを作り出すことは出来ない。人間だけが現状の枠を越えて、将来を展望し、理想に向かって何かを作り出すことができる。それが創造の神の賜物としての知恵である。

ソロモンが、父の王位を継いだその夜、神がソロモンの枕元に現れ、「何事でも願うが良い。あなたに与えよう」と語られた。その時ソロモン王は、「どうか、あなたの民を正しく裁き、善と悪とを判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与え下さい」と願う。その時、神はソロモンの願いを喜ばれ、「あなたは自分のために長寿を求めず、又敵の生命も求めることなく、訴えを正しく聞き分ける知恵を求めた。見よ、私はあなたの言葉に従って、今あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える。あなたの先にも後にもあなたに並ぶものはいない。私は又、あなたの求めなかったもの、富と栄光も与える。もし、あなたが私の掟と戒めを守って、私の道を歩むなら、あなたに長寿をも恵もう」列王記上3章と言われた。

ソロモン王の知恵が神からのものであったように、私たちも神に求めるなら、人知を遥かに超えた知恵が与えられ、困難な問題でも、克服することができるだろう。