我が子を目一杯抱きしめて

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第4回目の「プレ・クリスマス会」には、6家族、8名の子供たちが集った。会堂にジョイントマットを敷きつめた所に親子で座り、自己紹介した後、手遊び、紙芝居、手作りの楽器でクリスマスソング、リースの飾り作り、ママたちのおしゃべりティータイム、その中で、越智清香姉がよい証をしてくれたので、ここに紹介したい。

皆さんは、NICUという病棟を知ってますか?最近、コウノドリというドラマで認知度は高くなったと思います。NICUは新生児集中治療室という病棟です。患者さんは、早産で産まれた赤ちゃんや先天性疾患で産まれた赤ちゃんなどです。ここで、たくさんの赤ちゃんに出会いましたが、それと同時にたくさんのママにも出会ってきました。NICUに入院している赤ちゃんは、ママとパパと24時間一緒には過ごせません。様々な治療をしてときには痛みや苦しみに耐えながら生きようと頑張ってます。その生命力には驚かされることばかりです。

私たちは、赤ちゃんの生きる力を信じて手助けをしていますが、赤ちゃんにとって一番の薬はママとパパの愛情だと私は思います。ママたちが面会にくると、さっきまでなかなか落ちつかなかったバイタルが落ち着いたり、ママたちに抱っこしてもらうと眠りについたりと。ママの偉大さを感じます。産後、身体がまだ辛いママたちも毎日のように我が子に会いにきて、家では搾乳をして母乳を届けてきてくれます。母乳は、赤ちゃんの泣き声に反応して分泌されます。しかし、赤ちゃんと過ごせないママは毎日3時間ごとに、自分で起きて搾乳をします。それがどんなに辛く大変なことか。その愛情は赤ちゃんにも伝わっています。

皆さんは、「死戦期帝王切開」という言葉を聞いたことはありますか?お母さんの命が危うくなったときに行う帝王切開です。そんな悲しい出産で産まれた赤ちゃんが入院していたことがあります。お母さんは、一度も我が子には会えず、顔を見ることも声を聞くこともできませんでした。赤ちゃんの性別は、産まれてからの楽しみということで、性別すら知らなかったのです。また、私が担当していた赤ちゃんは、一度も外にも行けずママのおっぱいを飲むこともできず天国に行きました。

赤ちゃんを抱っこして、授乳できることは当たり前ではありません。時には、子供が思いどおりの行動をせず、イライラすることもあると思います。泣き止まない子供に、どうして、なんでと思い、悲しくなることもあると思います。そんな事を思ったとき、思い出してください。出産して我が子を始めて抱いたときの気持ちを。

そして、皆さん、我が子を目一杯抱きしめてあげてください。出産は奇跡です。そして、今日も我が子が元気に過ごすことができていることも奇跡です。