平和な世界が一番   教会員

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今年の3月から7月まで、私はドイツのビーレフェルトという街に留学していました。私が住んでいた寮にはヨーロッパを中心に世界中の国々から来た留学生が住んでいて、よく誰かの部屋や屋上に集まってはいろんな話をしました。ヨーロッパだからとかアジアだからとか、黒人だからとか白人だからとか、そういった地域や人種による差別はこの環境の中ではほとんど感じることがありませんでした。誰でもこのコミュニティの中では対等に話せる環境でした;。

一方で街に出ると時々腑に落ちないこともありました。これはヨーロッパではよくある話だそうですが、中国・韓国・日本などの東アジアの人がことごとく「ニーハオ」と声をかけられるのです。もちろん中国人に間違われるのが嫌だというわけでは決してありません。何が不快だったかというと、そうやって声をかけてくる人の多くが何やらニヤニヤしながら話しかけてくることです。もちろん中には友好的に「ニーハオ」と声をかけてくれる人もいますが、大半はちょっと馬鹿にしたような口調なのです。こんなことがあまりに何度も起こると、「ああここの人たちはアジア人を馬鹿にしているのかな」と思えてしまいます。

でもそういう人は私が向こうの大学で出会った人たちの中にはいませんでした。

考えてみれば、実際に会話をして仲良くなる中で面と向かって人種を当てに他人を馬鹿にするなんてことは、余程の人でないと出来ません。多くの場合、その国の人と良い出会い方をすれば、その人たちを馬鹿にしようとは思わなくなるのです。逆にあの馬鹿にしてきた人たちは、まだアジアの人と良い出会い方をしていないのかな、とちょっと寂しくなりました。

国同士の関係はこれまた別で、様々な利害が重なって複雑なものになってしまいがちです。しかしそんな国同士でも、個々で出会うと全然仲良くなれたりするものです。私が留学中に出会った人たちの中には、一般的なイメージで言うと「仲の悪い」国同士の出身の人もいました。でもそういう人たちも、大学や寮で会う中で「あの人はあの国出身だから仲良くなれない」なんて聞いたことがありません。むしろよく話すし、良好な関係を築いていました。個々の関係と国同士の関係。国同士も個々で会う時と同じくらい単純ならいいのに、と思ってしまいます。そして逆に国同士の関係が悪くなりすぎてしまったら、それが例えば戦争にまで発展してしまったら。個々に良好な関係を築いてる人たちからしたら、そんなのひどすぎるし迷惑千万な話です。

そのように考えた時、やっぱり平和な世の中が一番だな、と思います。平和な世の中。個々の国を超えた良好な関係が国同士の利害のせいで壊されたりなんかしないように。世界中にいる大好きな友達たちとこれからも笑って会えるように。やっぱり、平和な世界が一番。