32年前上尾教会に来た時、同じ賛美歌を何度も賛美している印象を持ち、東京バプテスト神学校の教会音楽科で学んでみたいと願書を出しました。以前在籍していたことが加味され聴講の道が開かれました。後で知りましたが、机を並べていた皆さんは難しい実技試験をパスされ入学していました。教室は大井教会で、土曜日一日を使い、礼拝学・讃美歌学・指揮法・聖歌隊・ハンドベルを受講しました。
すべての講義を大谷レニー先生がなさっていました。レニー先生との出会いです。聖歌隊練習レポートは毎週提出で、聖歌隊が無いのでと提出したら、「聖歌隊を作れ」とC判定で返されました。厳しいそんな!でも厳しさの中に威厳と温かさのにじみでる方でした。丁度『新生讃美歌2003』の編纂の時で多くのエピソードをお聞きできたのは、私の大きな財産になっています。「バプテストの讃美歌集1冊で礼拝が出来るように」といつも言われ、「次に讃美歌集が編纂される時は、どんな素晴らしい曲でも歌われなかったら選ばれないのよ」と長い経験談を語られました。
子ども達もそれぞれお世話になりましたが、献一夫妻には、「理不尽な事でも頼まれたら一度はやってみて、私にはできます、できませんと断るようにしてきた」とアドバイスしてくださったと聞きました。スチュワードシップの姿と思います。
レニー先生から、壇上で何が起きてもパニックになって指揮を止めてはならないと教えられましたが、新生讃美歌629番を壇上で独唱された時♪すべて主にささげて、すべて主にゆだねて、すべてカルバリの主に、この命ささげよう♪と賛美する先生の目に大粒の涙を見ました。これが先生の原点、献身と心に響いてきました。先生の蒔かれた礼拝音楽や賛美の種は世界中で花咲いています。微力ですが持ち帰った種は上尾教会でも蒔かれ、花咲いていると思っています。
コロナ危機のせいか、最近自分の事ばかり考えている自分に出会います。しかし人は神を思い、他者を思う生き方の中に充足を与えられるのだと感じます。小さい事ですが、近所の方に出会ったら、「お変わりありませんか?」と声をかけるようにしています。長話になりそうな時は、「1メートルあけましょうか」と笑い合います。
「心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい、また、隣人を自分のように愛しなさい。」ルカ10:27