もしキリストが生まれなかったら・・

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毎年クリスマスには、キリストの誕生をお祝いしているが、なぜ2千年間変わらず祝い続けているのだろうか。命日は記念しても、生誕を世界中の人から祝われる人は他にはいない。100年前に出版されたクリスマスカード『もしキリストが生まれなかったら』にそのヒントがあるので、以下に紹介したい。

ある牧師が家中を見回したが、煙突の下に靴下も、飾られたツリーも、クリスマスに関するものは何もなかった。彼は外に出て町を歩いたが教会は一つもなかった。家に帰って書斎を見たけれどもキリストに関する書籍は一冊もなかった。数日後、彼は葬儀を行うために棺の傍らに立ったけれども、そこには聖書も讃美歌もなく、慰めのメッセージも、栄光ある復活も、開かれた天もなかった。ただあるものは「塵は塵に、灰は灰に」という言葉と、永遠の決別だけだった。牧師は遂に「キリストは来なかった」ことを認め、墓土に手をついて激しく泣いた。そして目を覚ますと次の声があった。「忠信なる者よ。歓喜と勝利をもって来たれ。ベツレヘムに来たれ。来たりて、神が人となられた救い主を拝せよ」と。やがて彼の唇から賛美と歓喜がほとばしり出た。

もしキリストが生まれなかったら・・クリスマスもなく、私たちに救いもなければ永遠の命もなかった。私たちは今も尚、罪の中に生きることになり、闇の中を希望なく歩むことになる。更には上尾教会が建て上げられることも、こうして愛する信仰の友との出会いもなかったことになる。自分の信仰生活を支えている全てのことがキリストが誕生されたクリスマスから始まっていることに気づく。そう考えると今年のクリスマスはまた違った新たな思いで迎えることができるのではないか。

クリスマスは、一年で一番夜が長い時期を迎えているように、世界中が闇の中で何も見えず、光を見出すことができない。人間の罪によって暴力と不正が蔓延り、子どもの泣き叫ぶ声が至る所から聞こえてくる。2021年2月、ミャンマーで国軍によるクーデターが発生し、2022年2月、ロシア軍がウクライナ侵攻を開始し、2023年10月、ガザにイスラエル軍が侵攻し、市民の犠牲は増え続けている。そんな闇の中で苦しむ人々の所に救い主は来られ、「あなたはひとりではない。私が共にいる」と伝えてくださったのがクリスマスのメッセージである。クリスマスは、私たちが神を探し求めるのではなくて、神が私たちを探し出してくださる日である。

「暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、我らの歩みを平和の道に導く。」ルカ1:79