ありのままで率直に生きなさい

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父の日は、母の日と同じように教会から始まった。今から100年以上前、米国ワシントン州に、男手一つで6人の子供を育て上げた父親を想い、娘の一人であるソノラ・スマート・ドッドさんが、母の日と同様に父の日も設けてほしいと教会に提案し、6月に父の日礼拝を開いてもらったことがきっかけだと言われる。6月というのは父親の誕生月だったそうだ。戦後、この習慣は日本にまで広まった。

インターネットに「理想の父親ランキング]というのがあった。一位はタレントのつるの剛士さん、2位はお笑いコンビ「FUJIWARA」の藤本敏史さん、3位はアイドルグループ「V6」の井ノ原快彦さん。彼らに共通するのは、家族を大事にし、家事・育児に励み、ユーモアのセンスがあること。昔ながらの頑固一徹、家事・育児は母親に任せ、仕事を取る、そんな父親は現代では敬遠されるようだ。

父親に対する御言葉が2つ思い浮かぶ。一つは、「父親たち、子供を怒らせてはなりません。主がしつけ諭されるように、育てなさい。」エフェソ6:4。もう一つは、「父親たち、子供をいらだたせてはならない。いじけるといけないからです。」コロサイ3:21。母親が子供に対してこのように書かれている御言葉はないので、恐らく父親は子供に対して厳しすぎるからではないか。父親が子供を叱る時、その真意が子供には伝わらずに、ただ厳しい父親の姿しか映らず、子供を怒らせたり、いらだたせたりするからだと思う。私も感情的になって叱り、「なぜ、あの時、叱られたのかわからない」と子供から言われたことがあった。そんな親のパワハラが、子供の心を萎縮させ、傷つけるのである。

むしろ、「主がしつけ諭されるように、育てなさい。」とある。口語訳では、「主の薫陶と訓戒とによって、彼らを育てなさい。」とあった。今日、「薫陶」という言葉を用いなくなったが、とても素晴らしい言葉だと思う。元々は陶器の世界で用いられた。香を焚いて香りを移し、粘土を焼いて陶器を作り上げる。そこから優れた人格の香で感化し、優れた人間を育てるという意味になった。主の香を受けて、私たちも主の香りを放つ者へとしつけられるのである。又、「いらだたせる」という言葉は、「過大な要求をする」という意味である。わが子に対して、過大な要求をすることはないか。子供に夢を抱くことはよいが、夢を押し付けてはならない。「よい学校に入れ」「よい仕事に付け」と、過大な要求をする時、子供はそのプレッシャーで押し潰されていく。私たちは神の作品として造られたのだから、ありのままで率直に生きなさい」と勧めようではないか。