貧困のただ中でのクリスマス

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景気は上向き、就業率も上向き、さあこれからは「一億総活躍社会」だと耳にするが、現実は、非正規労働者が4割を超え、子供の貧困率が過去最悪の16%を超え(子供の6人に一人)、単身女性の3人に一人が貧困と言われる。およそ300万人が国が定める「貧困ライン」(一人世帯122万円未満/月10万円)以下で暮らしている。「母子家庭の貧困」「子供の貧困」「若者の貧困」「高齢者の貧困」が深刻化している。赤ちゃんからお年寄りまで含めた計算でいくと、約2千万人が貧困に該当し、貧困が、決して一握りの人たちだけの問題ではないことがわかる。このままだと、「一億総貧困社会」が訪れても不思議ではない。特に、子供や若者の貧困は、学力格差や不登校、中退などを引き起こし、貧困の悪循環が次の世代にまで引き継がれていく。

又、「関係性の貧困」も見られる。人間関係が希薄になり、相談相手も見いだせず、又、相談したとしても、理解されず、受け入れてもらえない。最近、いじめで苦しんでいた小学生が相談した担任の先生から「○○菌さん」と呼ばれ、更に苦しめられ、不登校になった例など、弱い立場に置かれた人の痛みや苦しみを受け止めようとしない。そして、貧困の原因を「自己責任」とされてしまう傾向にある。社会の問題なのに、自分の責任にされてしまう。だから自分が貧しくても貧しいと言えず、社会の中で貧しい人が見えにくく、貧困問題が社会の問題として認識されてこない。そして、見えにくいから貧しい人同士がつながることができず、「助けて!」と言えず、孤立してしまいやすい。孤立して追いつめられていく人が大勢いるのである。

世間では、クリスマスは楽しく豊かなイベントと捉えられているが、聖書が描くクリスマスは貧困状況であった。主イエスは泊まる場所も無く、寒々しい家畜小屋で生まれ、ヘロデ大王の迫害を恐れて、エジプトに難民として逃れていくのである。しかし、母マリアは「身分の低い者を高く上げ、飢えた人を良い物で満たし、富める者を空腹のまま追い返されます。」ルカ1:52-53と、主を賛美したのである。今日も主イエスに出会うことによって、この賛美を捧げることができる。「主は豊かであったのに、あなたがたのために貧しくなられた。それは、主の貧しさによって、あなたがたが豊かになるためだったのです。」Ⅱコリント8:9。主の豊かさは貧しさに、貧しさは私たちへの豊かさへと変えられる。私たちも主イエスを中心とするこの貧しい人々の家族の一員として、支え合い、助け合いながら歩んでいく、そんなクリスマスを迎えたい。